レジリエンスとは?
過酷な環境やストレスの多い状況、またトラウマ体験といった逆境に直面した際に、そのダメージを回復させ、状況にうまく適応していく力を指します。
実際に、災害に見舞われたり、大切な人を失ったり、といった状況に悲嘆しないということではなく、立て直していく力のことを示すものです。
また、何気ない日常の中で不満や自分の恵まれない境遇ばかりを意識するのではなく、今あるものや環境のよい側面を肯定的に見つめ、豊かさや喜びを見出すことのできる力もここに含まれます。
コロナ禍はまさにレジリエンスが試される時でした。思うように人に会うことができないという環境で、精神的な不調に陥った人もいれば、柔軟に働き方をデザインし直し、柔軟に対応したことで新たな豊かさを得たという人もいます。
これらのようにいかなる逆境下にあろうとも、それを跳ね返すかのような逞しさをレジリエンスと呼び注目していこうという流れが生まれてきました。

高いレジリエンスが人生にもたらすもの
子供時代のレジリエンスの高さ
①メンタル不調の予防
②健やかな発達を導く
③就学前の抑うつ傾向や不安が起こりにくい
④若年でのアルコール摂取の可能性が低下
⑤アカデミックレジリエンスが高い
⇒教育的発達にとって大きな脅威となる逆境状況を克服する力
・自信 ・調整 ・制御 ・落ち着き ・コミットメント
の5つで構成される。
⇒授業によく参加し、学校生活を楽しみ、自尊心が高まりやすい傾向。

大人のレジリエンスの高さ
①ストレスやバーンアウトの減少させる
②中年期の自殺傾向の低下
③年齢に対する否定的な認識の緩和
④ステレオタイプへの影響の緩和
⑤人生における幸福の予測を可能にする
⑥目標達成に向けて具体的に計画を立てて成し遂げていくことができ、成功や幸福を手に入れやすい。
よって、誰もが身に付けるべき力として認識されるようになってきました。

レジリエンスを伸ばすためにできること
1 ポジティブ感情の重視
ポジティブな感情をもつ経験をや状況を継続的に体験していく。また、継続して自身の感情を記録に残していく。その中で徐々に、逆境に陥った時にうまく対処するための思考の構えや行動のレパートリーを広げていくことができる。
2 自らのもつ内的資源・外的資源に注目していくこと
・人間の持つ24の強みリストから自分の持っている強みを見つけておく
http://linkupjapan.wp.xdomain.jp/strength24/
・いざという時に自分を助けてくれる存在を意識する
ストレスや逆境に対して、対処可能感が育まれていく。
自尊感情や自己効力感をもてるように育むで、ストレスフルな状況においてもポジティブな側面に着目することが可能になっていく。
とにかく、周りから大切にされる経験や成功体験をひとつずつ積み重ねていくことが最も必要なこと!
・「できたこと日記」をつけてみる
自分がその日に達成した小さな出来事や、挑戦を試みたこと、楽しめたことなどを日々記録に残していく。結果、自尊感情の向上がみられた。
中学生のレジリエンスに関する山口市の研究
http://www.ysn21.jp/tyousa/tyoukikensyu/houkoku/houkoku27/h27yoshimura.pdf

教育でレジリエンスを伸ばす
これまで記載した方法で、レジリエンスを向上させていくことは可能といわれています。
そして、この「向上」というのは4つの広がりの方向性で捉えることができます。
まずは個人の能力に関して。
①増幅
個人が今までにもっていなかった力を新たに身に付けること
②発掘
もともともっていながらも、顕在化していなかった能力に気付くこと
次に、①と②の作業を一人で行うのか、他者とのかかわりの中で行うか、という手段の違い。
③他者とのかかわりの中から
自分以外の存在との意見の違いやコミュニケーションの工夫などを通じて①や②を実現させるもの。
④個人で
・努力して知識やスキルを得ること
・内省や客観的な自己理解による、自分がもつ資質や能力への気づき
個人と集団活動を通したレジリエンス・プログラムの再検証(2020年)で明らかになっています。図解がとてもわかりやすいです。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjep/68/3/68_322/_pdf/-char/ja
大切なのは、子どもそれぞれのレジリエンスの在り方を尊重し、それを拡げたり発揮できたりするような実践や働きかけを積み重ねていくことだ、とも述べられています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今回は第7回として【非認知能力特集その7 逆境をしなやかに生き延びる「レジリエンス」】についての学びをまとめてみました。
何かとストレスフルな環境において、自身の心も身体も守っていくために、日々積み重ねておくべき大切なことを学ぶことができました。
Supportiaでの学びは、こうした非認知能力に関する最新の知見をもとに、教育の責任者と環境設計責任者とが議論を重ねながら学びの環境を整えています。体験へのご参加も随時受け付けておりますので、お待ちしています。下記フォームからご参加いただくことができます。
https://docs.google.com/forms/d/1_qHGcyQbvZ0dWVjZn7xSClh9egprun34p5J8mTHOCPk/edit
体験は、日曜日と水曜日の17時~18時20分です。随時参加可能です。対象は中学校3年生までです。保護者の方も一緒に参加してみたいというご要望も大歓迎です。ご参加をお待ちしています。

お互い直接会ったことがなくても、協力的なコミュニケーションが生まれていきます。