非認知能力という言葉を聞いたことはありますか。非認知能力とは、いわば「人間として生きていくためのあらゆる能力」のことです。あまりピンとこないかもしれないので、もう少し具体的に。
例えば、「生きていくうえで必要な能力って何?」と子どもに尋ねられたら、何と答えるでしょうか。サバイバル能力?腕力?料理の技術?協力する力?住む場所を作り上げる力や技術?答えは多岐に渡ります。これらのどれもが、生きる上では必要とされる能力です。それでは、非認知能力とはどんなことを意味するのでしょうか。
「非認知」という以上は認知されにくい能力、つまり数値などのデータに反映されにくいけれど人間の能力としてとても重要だよね、という共通の理解があるものいうイメージです。コミュニケーション能力や物事を継続する力、我慢強く向き合う姿勢や自ら考えて行動しようとする力、物事の本質を見抜き問題発見し、課題を共有し、協力して解決する力などなど。
※逆に「認知能力」とは、皆さんが想像しやすいテストの得点とか、いわゆる偏差値とか、結果を数値として捉えそれまでの学習活動を振り返り、改善を目指すことができる、というものです。
教育改革も非認知能力の向上を目指す
2020年度から始まった新学習指導要領により評価の観点が3つになりました。それは(1)知識・技能(2)思考力・判断力・表現力等(3)学びに向かう力・人間性等というものです。このうちの(3)は、非認知能力とも特に関わりの深い観点であるといえるように思います。
学校においては、教科の学習に留まらず「特別活動」という領域があります。学級経営とか学級内の係活動、学校全体の運営である生徒会活動や委員会活動など、自治的な活動のことです。
以下に添付したのは文部科学省の新学習指導要領リーフレットの抜粋です。これを読むと、「非認知スキルを育てていこうね」と読めるような気がしてなりません。

学力向上と非認知能力
10歳の壁という言葉があります。諸事情による家庭の教育格差(放課後の習い事や学習塾などの差)が子どもの学力に数値として顕著な差となって表れるのが小学校4年生頃、10歳の頃であるという研究結果です。そして恐ろしいことに、この10歳で顕在化した差は埋まることのないまま15歳まで厳然たる分厚い壁となって存在し続けることになる、というものでした。
きっとその後の人生においても数値として得られるデータで追いかけた場合、差が自然と埋まるということは考えにくいのではないでしょうか。
では10歳よりも前に、学習内容について詰め込みを強化して知識の習得に努める【早期の認知能力獲得を目指す】場合と、自己肯定感や自制心、想像力や好奇心、共感性や協力して物事を達成する経験による自信など【早期の非認知能力を伸ばすことを目指す】場合とでは、どちらがよりその後に良い影響を与えるのでしょうか。
お察しの通り、結論としては【早期の非認知能力を伸ばすことを目指す】ことの方が、より長期的な視点に立てば効果が高く、結果として学力の向上にも有効であることがわかっています。(参考文献『「非認知能力」の育て方~心の強い幸せな子になる0~10歳の家庭教育~』)
とはいっても、公立の小中学校では「○○教育」は多岐に渡り、先生方は多忙を極めています。理念として新学習指導要領の方向性には目を見張るものがありますが、考え方や求められる教育をじっくりと理解し進めていくことを徹底する難しさは想像に難くない状況です。
私たちの活動
私たちは、微力ながらそのような方向で改革を進めて歩む公教育に伴走するかたちで子どもたちの学びをサポートしたいと考えています。認知能力の獲得ではなく、あくまでも非認知能力の向上を目指すことを根本に据えた活動に絞る。そして、生きていくうえで必要な力を身に付ける機会や場を設定し続けたいと考えています。
こちらのnoteではこのような記事をなるべく簡単な表現で保護者の方に伝えるような気持ちでまとめていきます。今後ともよろしくお願いします。
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